5つ目は、“自然を実感する”
石に躓いて石の硬さをいやというほど感じる、転んで手をすりむいてヒリヒリした痛みを味わう、焚き火をして火の熱さを実感する、足首が朝露で濡れるのを感じる、安倍川に入って水の強い流れでよろよろする、川底のぬるぬるした石を素足で探る、転んで水に入れば濡れた衣服の冷たい重量を感じる、これだけのことさえ経験する子どもは少なくなっています。学校に美しい木の床があるのにソックスはいて上履きを履く。どうして素足で走り回らないのでしょう。
遊びながら自然の木や草や空気の流れや虫や動物やなかまの子どもを実感し、無意識のうちに自然の中の存在だと感じ、自分だけのデータベースとして体内に構築します。
「バカの壁」を書いた養老孟司教授に聞きましたが、現代のあらゆるパワーは「都市」に集中し、そこは樹木も草も建物や街路やガス・水道・電気の配管などすべてを計算してつくる世界なので、計算や予測が出来ないことが一番困る。自然や生物、特に女性と子どもは最も予測しにくいものなので都市を支配する者からは邪魔な存在と見なされる。孔子が、「女子と小人は養いがたし」と発言したのはこの意味なのだ。ということです。
都市化が進んだ現代では、自然の一員であることを忘れて自然は人間が管理するものだという誤解が生じました。
自然を実感し無意識にデータベースとして貯えていると、社会人としてさまざまな立場で問題解決に当るときに、その人しかできない思考や知恵が湧いてくるのです。そして世界に向けてアイデアや情報を発信することが出来ます。
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