インフルエンザ予防接種に関して新聞記事がありましたので一部読みやすくして紹介します。
毎日新聞 2010年10月15日 東京朝刊記事より
インフルエンザ:予防接種、早めに
インフルエンザの流行シーズンを前に、10月から各地の医療機関でワクチン接種が始まった。
昨季は新型インフルエンザ(H1N1)が猛威を振るい、国内でも約2077万人が感染したと推計されている。
今季はどのようなインフルエンザの流行が予想されるのか。また、ワクチンの供給量は十分か、接種が薦められるのはどのような人なのか。ワクチン接種の仕方や注意点をまとめた。【藤野基文】
■今季のインフルエンザワクチンのポイント
・新型と季節性(香港型)とB型を一つにまとめた3価ワクチン
・供給量は十分な5800万回分。優先接種の対象者は定めない
・接種は13歳以上が1回、13歳未満は2回
・40~60代で高い新型の死亡率。昨季の未感染者は積極的に接種を
・昨季の感染者、ワクチン接種者も、免疫力が低下しているため、改めて接種した方がよい
・免疫ができるまでに約2週間。接種は早めに
・副反応は まれに腫れや発熱、極めてまれにアナフィラキシーショック。…異変感じたらすぐ病院へ。
ワクチン接種による副反応はどうか。厚労省によると、まれに打った場所の腫れや痛みが出たり、
発熱や頭痛などが出ることがあるが、いずれも2~3日で治まる。
また、因果関係は不明だが、昨季は新型インフルエンザのワクチン接種後に132人の死亡が報告された。死亡率は0・0006%で、従来の季節性ワクチンでも0・0003%あり、いずれも極めてまれなケースだが、接種後、体調に異変を感じたら、早めに医師の診断を受けた方がよい。
ワクチン接種で感染を100%防ぐことができるわけではないが、感染しても重症化を防ぎ、周囲への感染拡大を抑えることが期待できる。専門家は「インフルエンザワクチンは副反応が低く、危険性と利益を比べたら、はるかに利益の方が高い」と口をそろえる。
◇今季の流行予測は、新型だけの大流行は考えにくく、新型と季節性の両方が流行するだろうと。
世界保健機関(WHO)は新型インフルエンザについて、世界的大流行の時期は過ぎたが、ウイルスが消えてなくなったわけではなく、今後数年間は世界で流行し続けることが考えられるとしている。
今季のインフルエンザについて専門家は「流行する時期や種類は分からないが、新型だけの大流行は考えにくく、新型と季節性の両方が流行するだろう」と予想する。
◇1種類で 新型と季節性を混合、5800万回分供給
今季のワクチンは、新型と季節性2種類の計3種類に対応する「3価ワクチン」が製造されている。昨季は、季節性と新型のワクチンは別々に打つ必要があったが、今季は1種類を接種すればよい。従来のインフルエンザワクチンは、A香港型とAソ連型、B型の3種類を一つにまとめたものだった。今季は、近年ほとんど消滅したと考えられるAソ連型を外し、代わりに新型のワクチンを混ぜている。
厚生労働省によると、この新しいワクチンはメーカーから約5800万回分が供給される予定だ。担当者は「これまで季節性ワクチンが1シーズンに約4000万回使用されていることから考えても、十分に足りる」としている。このため、昨季は供給が間に合わず、妊婦や基礎疾患のある患者、乳幼児などに優先的に接種されたが、今季は優先接種の対象者は定めない。
接種は国と契約した病院や診療所で受けることができる。接種回数は、13歳以上が1回、免疫の付きにくい13歳未満が間隔を1~4週間空けて2回。ただし、病気などで免疫の付きにくい人もいるため、13歳以上でも医師の判断で2回接種することもある。料金は市町村が決めるため一律ではないが、厚労省は1回目3600円、2回目2550円を目安として示している。
◇効果は 半年は持続、40~60代も積極的に
ワクチンはいつごろ打つのが良いのだろうか。東京医科大の松本哲哉教授(微生物学)は「ワクチンの効果は約半年間持続する。免疫ができるまでに最低2週間かかるので早めに接種した方がよい」と話す。また、昨季にワクチン接種した人やインフルエンザにかかった人も免疫力が低下しているため、改めて接種した方がよいという。
新型については、昨季の優先接種の対象だったリスクの高い人は当然接種が薦められる。さらに、東北大の押谷仁教授(ウイルス学)は「理由は分からないが、昨季は40~60代の死亡者が多く、死亡率も高かった。一方で、この層は感染者が少なく、全く免疫を持っていない人もいるため、特に積極的に接種してほしい」と呼びかける。一方、季節性は高齢者で重症化することが多く、やはり接種が薦められるという。