2009.8.25新型インフルエンザの現況です。
Ⅰ.新型インフルエンザ対策-続報
8月24日のニュース
◎現況
7月までの予想では、新型インフルエンザA(H1N1)は、真夏には高温多湿の環境で流行が一時的にせよ終息し、秋になって再興するのではないかとされていました。
しかしこの予想は見事にはずれ、真夏にもかかわらず、日本だけでなく北米と欧州で新たな地域への感染が拡大しています。
冬のさ中にある南半球では、季節性インフルエンザを抑える形で、アマゾンの先住民にまで新型が猛威をふるいました。WHOは、これから流行シーズンになる北半球でも同じ傾向で流行する恐れがあるとして警戒を強めています。
◎症状の重さと死亡率の推定
症状は、WHOによると、現時点では「季節性よりわずかに症状が重い」程度という。
新型インフルエンザによる死亡率は、海外の情況から導いた計算では約0.5%で、季節性インフルエンザの0.1%未満より高くなっています。
死亡例の大半はウイルス性肺炎によるもので、重症者の多くは喘息や糖尿病などの基礎疾患がある人や肥満の人、妊婦などですが、これまで健康だった人でも死亡に至る例があり、必ずしもハイリスクの人だけが危険だとはいえません。
世界各国の死亡者は、北米・中南米が1274人と飛びぬけて多く、アジア太平洋地域は計126人、欧州は53人、アフリカは1例に留まっていますが実際は多数の死者が出ている可能性が高いようです。
WHO担当官によると、「患者が多いのに死者が少ない日本は非常に珍しいケースだ。タミフルを積極的に使っていることと関連があるのかもしれない」と話しています。
国内の重症者は、8月12日~18日までの1週間で、全国で86人。男性50人。女性36人。5~19歳未満が51人で全体の7割超が未成年。60歳以上は8人と集計されています。
子どもの脳症は、季節性でも年間100人程度が発症しているが、新型でもすでに7例報告されています。
妊婦の死亡は国内にはありませんが、米国では6例報告され、免疫が低下する妊娠中の全期間で危険が高く、発熱による流産の危険もあり、妊娠後期には肺炎を発症して重くなることがあると警告しています。
◎新型ワクチン
新型用ワクチンは、厚労省が独自の判断で1700万人分を発注していましたが、実際の生産量は1400万人分に減る見通しとなりました。国内では10月にも供給が開始されますが全人口の10分の一でしかないため不足が予想され、接種の優先順位が大きな課題になっています。
WHOは、低開発国での医療従事者を最優先するよう勧告していますが厚労省は、「だれから優先的に接種するか、接種時期までに国民にオープンな議論をして決めたい」(結核感染症課)と、責任転嫁を図っている始末です。
舛添要一厚労相は、新型インフルエンザワクチンの輸入を検討すると表明し欧州のメイカーと交渉を開始しましたが、世界的なワクチンの分捕り競争に突入している現在、国際世論は、医療レベルがきわめて低く栄養や公衆衛生環境も劣る国の人々がワクチンを必要としているなかで、医療レベルが高い日本がワクチンを金にまかせて買い集めることに非難を浴びせかねません。