6.IgE依存性アレルギー反応ではどんなことが起こる?
特異的IgE検査(CAP-RAST法)の解釈は?
- 食べものに含まれる抗原蛋白が、皮膚・腸粘膜、気管支粘膜、鼻・口の粘膜、結膜組織に血流によって運ばれると、粘膜組織内のマスト細胞に付着しているIgE抗体(以前に作られていた-感作されていた)と反応します。するとマスト細胞から、痒み・痛み・くしゃみ・鼻汁を出させるヒスタミンや気管支収縮を起すロイコトリエンを放出して、近くの毛細血管壁や神経末端や気管支の平滑筋に作用します。
食べてから2時間以内に症状が出るのがほとんどで、即時型食物アレルギーといいます。 - 血液IgE検査(CAP-RAST法)は、採血により血液中にある個々の食品に対するIgE抗体レベルを測定します。アレルギー反応が起きるのは上記の粘膜組織内なので、血液中のIgE抗体価と実際のアレルギー反応の起こり易さを現すものではありません。
最近になって、
ほとんどの患者さん(95%)で食物負荷試験陽性となる特異的抗体価が報告されました食物抗原 特異的IgE抗体レベル(kUA/L)
食物負荷試験陽性率(%)
卵
7
98
卵 2歳以下
2
95
牛乳
15
95
牛乳 2歳以下
5
95
小麦
26
74
大豆
30
73
ピーナッツ
14
100
魚
20
100
(注) 小麦と大豆は、抗体レベルが最高値のクラス6であっても食物負荷試験が陰性となる患者さんもいるため、この数値を決めることはできません。
- 加熱と消化によるアレルギー性の減弱効果
卵アレルギーの主なアレルゲンであるオボアルブミンは加熱によりアレルゲン性が減弱します。アミノ酸の配列が加熱により切断され、アレルゲン性を失うからです。
年齢とともに消化機能が発達して、小腸の消化酵素により加熱と同様にアミノ酸配列を切断するようになれば、アレルギーがほとんど起こらなくなります。