最新食物アレルギーの紹介 (2012/3/10)

10.日常生活と保育園生活

  1. 社会の認識が薄い
    食物アレルギーによるアナフィラキシーの重大性について、社会的な認識が薄い。
    店頭販売や外食産業での事故は相変わらず起こっているため、食品業界、集団生活の場(保育園、幼稚園、学校)で、食物アナフィラキシー誘発を避けるための工夫と企業の食品担当者、施設職員と保護者などへの知識の普及が大切。
  2. 診断書と指示書
    外国の園と学校では、米国で16%、フランスで22%(給食の誤摂取や加工食品への混入)日本では学校で4.5%の食物アナフィラキシー誘発が報告されています。
    防止は困難ですが、適切な医療機関から診断書と指示書をもらい、誘発予防と起きたときの対応計画を個々の園だけでなく市町の自治体を含めて考えておく必要があります。
  3. 誤食による急な誘発時の対応
    アナフィラキシーショック経験者には、アドレナリン自己筋肉注射である「エピペン」を持つ者があります。「エピペン」は本人または保護者が自ら注射をする目的で作られたもので、注射の方法や投与のタイミングは医師から処方され際に十分な指導を受けています。
    1. 投与のタイミング:
      アナフィラキシーシヨック症状が進行する前の初期症状(呼吸困難などの症状が出現したとき)の時期に注射するのが効果的であるとされています。
    2. 症状によって児童生徒が自己注射できない場合も考えられます。
      アナフィラキシーの進行は一時的に急速であり、「エピペン」が手元にありながら症状によって児童生徒が自己注射できない場合も考えられます。
      園・学内で、このような状態の時には、教職員の方にお願いしなければなりません。
    3. 「エピペン」の注射に関する医師法
      法的には「医行為」にあたり、医師でない者(本人と家族以外の者である第三者)が「医行為」を反復継続する意図をもって行えば医師法(昭和23年法律第201号)第17条に違反することになります。
    4. 緊急の場合の教職員による行為は、医師法違反にならない
      アナフィラキシーの救急現場に居合わせた教職員が「エピペン」を自ら注射できない状況にある児童生徒に代わって注射することは、反復違反する意図がないと認められるため、医師法違反にならないと考えます。
    5. 医師法以外の刑事・民事の責任についても、責任が問われない
      医師法以外の刑事・民事の責任についても、人命救助の観点からやむをえず行った行為であると認められる場合には、関係法令の規定により、その責任が問われないものと考えます。